「クーポンはお持ちですか?」
レジでそう声をかけるかどうかを、私は今でも毎回その場で決めています。
ドラッグストアでパートを始めて5年。
商品の場所も、レジの操作も、たいていのことは考えなくてもできるようになりました。
それでも、いまだに決まらないことがあります。
クーポンの声かけを、誰に、どこまでするか。
全員に声をかければいい、というものでもありません。
かといって声をかけずにいると、あとで困る人が出てきます。
この記事では、レジに5年立っている私が、クーポンの声かけをどこまでするかで迷ってきたことをまとめています。
同じように、接客の「どこまでやるか」で迷っている方の、判断材料になれたら嬉しいです。
「もう、そっちでやって」と言われた日
以前の私は、レジに来られたアプリをお持ちのお客様ほぼ全員に、クーポンの案内をしていました。
言い方も、今よりずっと長かったです。
「よろしければこのクーポンのところを開いていただいて、お使いいただけるものがあればご案内いたします。」
とはいっても、細かいものまで全部見ていたわけではありません。
ご案内していたのは、お会計が何%か安くなるような、分かりやすいものだけです。
そこは、自分の中で決めていました。
少しでもお得にお買い物をしていただこう。
そう思っていたからです。
ところがある日、スマホをこちらに差し出されました。
もう、そっちでやって
言い方は、正直きつかったです。
やってもらって当たり前、という空気もありました。

親切のつもりだったんだけどな…
私の勤務先では、クーポンは基本的にお客様ご自身でセットしていただく運用です。
それでもそのときは、一声かけて、消毒してからスマホを触らせていただいています。
レジを離れたあとも、モヤモヤが消えませんでした。
よかれと思ってやっていたことが、そのまま仇になった。
そのときは、それしか思えませんでした。
その日から、私は全員に声をかけるのをやめました。
言葉も短くしました。
「クーポンはお持ちではないですか?」
今度は「あっ、クーポン忘れてた」
声かけを控えるようになって、しばらく経ったころです。
お会計が終わって、レシートをお渡ししたあとでした。
お客様がはっとした顔で、カバンから紙のクーポンを取り出されました。
あっ、クーポン忘れてた。今からでも間に合う?
クーポンは、お会計の前でないと使えません。
「少しお時間をいただきますが、よろしいでしょうか。」
そうお伝えすると、はい、とうなずいてくださいました。
こうなると、私ひとりでは処理できません。
責任者を呼んで、いったんお会計を取り消してもらい、返金の手続きをしてもらうことになりました。
その間、お客様をお待たせします。
レジも止まります。

ひと言聞いていれば、この時間はまるごとなかったな…
親切にしすぎて、モヤモヤした。
声をかけなかったら、お客様を待たせてしまった。
どちらも、私がやったことの結果でした。
その日から、また少しずつ声をかけるようになりました。
長い案内はしなくていい。
でも、ひと言だけなら聞いたほうがいいのかもしれない。
そう思ったからです。
でも、全員に声をかければいいわけでもない
では、全員にひと言聞けばいいのかというと、そう単純でもありませんでした。
クーポンは、種類がとても多いんです。
アプリの中にあるもの。
チラシについているもの。
店頭で配っているもの。
特定の商品だけポイントが何倍かになるものもあります。
使えるものがあるか見てほしい、と言われて一つずつ確認していくと、それだけで時間がかかります。
そのあいだ、レジは止まります。
後ろに並んでいるお客様には、何を待たされているのか分かりません。
そもそも私の勤務先では、クーポンはお客様ご自身でセットしていただく運用です。
その画面の中にたくさんのクーポンが入っているので、こちらで全部を開いて探して回ることはできません。
そう分かっていても、目の前で困っている方を見ると、やっぱり迷います。
声をかけないと、あとで困る人がいる。
声をかけすぎると、レジが止まる。
その両方を毎日見ているうちに、自分なりの目安のようなものができてきました。
今、私が使っている目安
今は、レジの状況やお客様の様子を見ながら、声をかける量を少し変えるようになりました。
決まりごとではありません。
5年やってきて、なんとなくできてきた私なりの目安です。
お買い物の量が少ない方には、あまり探しません。
店頭で配っているクーポンは、いくら以上お買い上げで、という金額の条件がついているものが多いんです。
お買い物が少ないと、そもそも使えないことのほうが多くなります。
使えないものを一緒に探して、結局使えませんでした、では申し訳ないなと思うようになりました。
よく来てくださる方には、声をかけます。
お店で配っているクーポンを、持っていてくださる可能性が高いからです。
スマホをすでに出しておられる方にも、声をかけます。
使うつもりで準備しておられることが多いので、ここは聞いたほうが早いです。
最初のひと言で反応がなければ、それ以上は聞きません。
ポイントカードはお持ちですか?、とお聞きして、ないです、と短く返ってくることがあります。
急いでおられるのかもしれませんし、話しかけられたくない日なのかもしれません。
そういうときは、クーポンの話まではしないようにしています。
それでも、目安から外れる人がいる
こう書くと、私の中に基準ができあがっているように見えるかもしれません。
でも、実際はそのとおりにいかない日のほうが多いんです。
お買い物が少なかった方が、金額の条件がついていないチラシのクーポンを持っておられることがあります。
ポイントカードはないです、と言われた方が、クーポンだけは出されることもあります。
お会計のあとで紙のクーポンを出された、あの方もそうでした。
目安をひとつ作ると、その目安から外れる方が必ず出てきます。
だから結局、毎回その場で決めることになります。
この方には聞いたほうがいいだろうか。
今日は後ろが混んでいるから、ひと言だけにしておこうか。
5年やっても、ここだけは考えなくてもできるようにはなりませんでした。
【まとめ】決まっていることと、決まらないこと
クーポンのことで、決まっていることもあります。
セットするのはお客様ご自身、というのはお店の決まりなので、ここは迷いません。
お客様のスマホを直接触らない、というのはコロナのころにできたルールでした。
今でははっきりしなくなっていますが、私は今もそうしています。
どうしても触るときは、一声かけて、消毒してから。
このあたりのことは、【年末年始あるある】レジ接客で増えるクレーム|50代パートの体験談6選にも書いています。
決まっていないのは、誰に、どこまで声をかけるかです。
目安は作れます。
でも、その目安から外れる方が必ずいます。
だから今の私は、全員のクーポンを一緒に探すことはしません。
かといって、何も言わないこともしません。
お客様の様子やレジの状況を見ながら、必要だと思ったときに、
「クーポンはお持ちですか?」
と、まずひと言だけ声をかけています。
5年働いても、完璧な基準はまだありません。
でも、「全部やってあげる」か「何もしない」かの二択ではないことは分かりました。
今日もレジで、「クーポンはお持ちですか?」と声をかけながら、その先はお客様の反応を見て決めています。
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