接客業をしていると、ときに心ない言葉を投げかけられることがあります。
たとえこちらに非がなくても、理不尽な怒りやイライラをぶつけられてしまうことも。
そんなお客様は、表情や話し方で“あっ、くるな”と予測できることもあるのですが――
先日は、まったくの不意打ちでした。
この記事では、登録販売者としてドラッグストアで働く私が、
ちょっとしたカスタマーハラスメント(いわゆるカスハラ)に遭遇した体験をお話しします。
同じように接客業で働いている方に、
「あるある…!」と共感してもらえたり、
少しでも気持ちがラクになるようなヒントになればうれしいです。
きっかけは、一本のシャンプー詰め替えから
朝の早い時間に、シャンプー売り場で商品を手にしながら悩んでいる初老の男性がいました。
私は「いらっしゃいませ」と声をかけ、日用雑貨の納品作業へ。
すると、その男性が私の元へ近づいてきたのです。
その男性は落ち着いた雰囲気で、静かに私に言いました。
男性のひとことに凍りつく

あのな、この商品とこの商品が同じなのかとてもわかりくいんや。
オタクはこれをみて、商品が違うならどう違うか説明する義務がある。
手には詰め替え用シャンプー。
そしてスマホには、ご自宅にあるボトル本体の写真。
落ち着いた雰囲気とは裏腹に、言葉には少し圧があって…私は一瞬戸惑いました。
でも、(これは落ち着いて、丁寧に“間違い探し”をしないと…)と気を引き締め、
何度も商品とスマホ画面を見比べました。
そして、私は違いを見つけたのです。
パッケージの帯の色が違う!
男性のスマホの写真と同じ商品は、こちらです。

※画像はヨドバシカメラの商品ページを参考に、筆者がスクリーンショットを加工したものです。商品名は伏せています。
そして、手に持っていた詰め替え用シャンプーはこちら。

※実際の商品パッケージをもとに、読者の方にわかりやすくイメージしていただくため一部画像を掲載しています。商品名などは伏せています。
私は、パッケージの帯の色が違うことに気づいたんです。
男性が持っていた詰め替え用は「クールタイプ」
スマホの写真は「マイルドタイプ」
私は違いを丁寧に説明し、男性と一緒にシャンプー売り場へ移動しました。
「それ、メーカーの問題ちゃう!」逆ギレと責任転嫁の嵐
シャンプーの種類が多すぎて、しかも似たようなパッケージばかり。
そんな日常の売り場での一コマから、思いがけない展開がはじまりました。
丁寧に説明しているだけなのに、なぜか責められて心がザワつく…。
「それ、私が悪いんですか?」と心の中で思いながらも、私は冷静に対応を続けました。
パッケージのデザインの違いを説明するも…
売り場に行ってみると、同じシリーズでクールタイプとマイルドタイプの2種類が並んでいました。

※実際の商品パッケージをもとに、読者の方にわかりやすくイメージしていただくため一部画像を掲載しています。商品名などは伏せています。
それを見た男性は、ようやく違いに気づいたようです。
そして、不機嫌になり、

もっとわかりやすくできんのか!
といわれたので、私は控えめに言いました。
「そうですね…こちらの商品はメーカーのデザインによるもので…」
と言ってる途中で、男性は私の言葉を遮りました。
プライス表示の責任を押しつけられる
「メーカーの問題とちゃうやろ。あんたとこの店の表示がわかりにくいというてるんや。」
「もっとわかりやすくする責任があるやろ」
プライスにはちゃんと「クール」と「マイルド」の記載があります。
これ以上どうわかりやすくすればいいのでしょうか…。
男性は、自分が見間違えたことが恥ずかしかったのか、まだぶつぶつと怒っています。
「こんなわかりにくいの置かれてもな」
私は 「わかりにくくて申し訳ございません」
とお伝えしましたが、返信はありませんでした。
「あんたに聞いても意味ない」という言葉の破壊力
「本体はないの?」
詰め替え用を買いに来たはずなのに、男性はなぜか「本体はないのか?」と言い始めました。
(これ、たぶん本体置いてないやつ…。でも、即座に置いてないといったらキレそうだし、念のため確認しよう)
「そうですね…本体があるかどうか一度確認してまいります」

また、メーカーか。もうええわ。あんたに聞いても意味ない💢
そういって、男性は売り場を後にしました。
パッケージのデザインは、メーカーによるものです。
それをわかりやすくしろと言われても、私たちにはできません。
確かに似たようなパッケージで、帯の色だけで判断するのは特に高齢の方には難しいでしょう。
男性は私がメーカーのせいにして、お店側としての非を認めなかったので暴言を吐かれたのでしょうか。
私が放った「メーカー」という言葉は、良くなかったのか。
ずっと頭の中で、「あんたに聞いても意味ない」の一言が、私の心をぐさぐさとえぐっていきました。
詰め替えしか置いてない“時代背景”もある
「本体はないのか」と聞かれることが増えました。
一見すると、お店側の不備のように思われるかもしれませんが、そこにはいくつかの事情があるのです。
商品の流通や売り場のスペース、そして時代の流れ。
ドラッグストアの現場では、少しずつ「詰め替え前提」の販売が当たり前になりつつあります。
今回の出来事をきっかけに、私自身も「なぜ本体がないのか?」という疑問を社員に確認してみました。
なぜ本体がないの?社員に確認してみた
モヤモヤが消えなかったので、社員に聞いてみました。
「なぜ詰め替え用は多くあるのに、本体は置いていないのですか?」
社員の話では、安価な商品は本体を置かず、詰め替え用のみの展開が多いとのこと。
スペースの関係もあるのかもしれません。
同じ状況でも、反応は人それぞれ
実は、「本体はないの?」とお客様に聞かれたことは、一度や二度ではありません。
あるシャンプーの時は、「本体はないんやね…」とがっかりはされましたが、怒られはしませんでした。
また、液体洗剤の時にはとても困った様子だったので
「100円ショップなどで容器を購入されてみてはいかがでしょうか?」
と提案をしたところ、
「そうするわ」と素直に受け止めてくださいました。
同じ“困った”という状況でも、反応が違えば、こちらの気持ちも大きく違ってきます。
対応のしやすさは、本当に雲泥の差です。
《レジでも炸裂!》クーポンにキレた男性の“意外な結末”
売り場での対応後、モヤモヤしていた時にレジ応援ボタンがなりました。
私は、作業の手を止めてレジへ向かいました。
再び遭遇、レジでも怒りの矛先が…
私がレジ応援に入ると、なんと──横のレジに、あの男性の姿が。
私は「ああ、あの人がいる…」と胸の内で小さくため息をつきながら、そっと様子をうかがっていました。
紙クーポンにまさかのひとこと
会計が進み、パートスタッフが紙のクーポンをお渡しした瞬間、男性は言いました。
「これいらんわ。こんなんもらっても無くなるし」
(ああ、やっぱり…何をしても不満を言いたい人なんだな)
そう思っていた私の横で、スタッフは堂々とこう返したのです。
「そうですか?私はお財布に入れて使ってますよ〜」
豪快に答えたパートスタッフ。
豪快な口調に少しヒヤッとしましたが──
驚いたことに、男性は

そうか、そうやな。そうするわ!
と言い、機嫌よく去っていったのです。
優しさより強さ?戸惑う接客の正解
(えっ…あの言い方で?)と内心戸惑いながら、私は複雑な気持ちになりました。
優しく、控えめに対応することが“正解”だと思っていたけれど──
もしかしたら時には、「押し返す強さ」も必要なのかもしれない。
接客に絶対の正解なんてない。
そう痛感した瞬間でした。
実はこの接客の少し後に、
高齢のお客様から「市販薬でなんとかしたい」というご相談を受けたことがありました。
そのとき、私が悩みながら対応したエピソードもあわせてご覧いただけたら嬉しいです。
👉【登録販売者の体験談】「市販薬でどうにかしたい」高齢のお客様とのやりとりで感じたこと
まとめ|接客の正解は一つじゃない。だから私は、自分の対応を信じたい
理不尽な態度を取られたとき、「自分の言い方が悪かったのかな」「もっと違う対応ができたかも」と反省ばかりしてしまう。
でも、接客に“絶対の正解”なんてないのだと思うんです。
優しくしても、強く出ても、どちらがうまくいくかなんて相手次第。
同じような対応をしても
「ありがとう。仕事中に忙しいのにごめんね」
「助かりました。ありがとうございます」
——そんな言葉に、これまで何度も救われてきました。
だから私は、自分の対応を信じて、また接客に立ちます。
人の感情に触れる仕事だからこそ、悩みも学びもある。
それでも誰かの「ありがとう」のために、今日も「詰め替えしかないんやって…」とつぶやきながら、私はまた接客に立っています。
\あわせて読みたい/
👉登録販売者に50代で採用!未経験から6社面接してわかった採用のポイント
→ 未経験・50代からの挑戦。採用までのリアルな道のりを綴りました。
👉レジ応援はどこまでOK?|50代主婦の接客現場で感じた“呼びすぎ問題”
→ レジ応援の多さに悩みつつも、お客様とのふれあいで見えた“接客の奥深さ”。
👉「慎重すぎる」と言われた登録販売者が気づいた伝え方の話【安全重視 vs 現場感覚】
→ 上司に指摘された日、安全重視と現場感覚のあいだで私が考えたこと。伝え方に悩む登録販売者の方にぜひ。


