接客が終わって、レジが少し落ち着いたとき。
「あのお客様、ほかに提案できた薬はなかったかな」と、ふと思うことがあります。
登録販売者になったばかりの頃の私は、本を開くのは接客の「前」でした。
でも6年目の今は、接客の「あと」に開くことが増えました。
この記事では、そんな私が今読んでいる本を、使った場面といっしょにまとめています。
同じように合格後の本選びで迷っている方の、判断材料になれたら嬉しいです。
新人の頃は接客の「前」、6年目の今は「あと」に本を開いています
働き始めた頃の私にとって、本は接客の「前」に開くものでした。
レジの合間にサッと確認して、接客に備えていました。
その頃の相棒は、『医薬品販売実務コンパクトブック』でした。
症状ごとにすぐ調べられる、ポケットサイズの本です。
今は、鈴木伸悟先生の『OTC薬ポケットマニュアル』が、接客の前にも後にも使える相棒です。
👉【現役レビュー】OTC薬ポケットマニュアルは買うべき?登録販売者が選んだ理由と他書との違い
6年目になった今は、接客の「あと」に本を開くことが増えました。
確かめたいのは、「ほかに提案できた薬はなかったかな」ということです。
3歳のお子さんの酔い止めで、「ない」と言ってしまった日
船に乗るために、大人とお子さんで使える酔い止めを探しているお客様でした。
お子さんは3歳。
当時のお店には、3歳から使える酔い止めの在庫がありませんでした。
それで私は、「この年齢で使える酔い止めはないようです」と説明してしまったんです。
でも本当は、3歳から使える酔い止めはあります。
本で読んでいたはずなのに、うろ覚えのまま「お店にない」を「世の中にない」と言ってしまいました。
大人の方には眠気の少ないタイプを案内して、お子さんには「遠くを見る」など薬以外の工夫もお伝えしました。
それでも、接客のあとはずっとモヤモヤしていました。
家に帰ってすぐ、OTC薬ポケットマニュアルを開きました。
やっぱり、3歳から使える酔い止めはありました。
年齢は、記憶で言い切らずにその場で確認する。
お店にないときは、「当店では取り扱いがありません」とお伝えする。
当たり前のことなのに、できていなかった日でした。
接客のあと、児島先生の本で酔い止めの使い分けを確かめました
OTC薬ポケットマニュアルで確認して、そこで終わりにもできました。
でも「ほかの酔い止めとは、どう使い分けるんだろう」と気になって、児島悠史先生の『OTC医薬品の比較と使い分け』を開きました。
この本は、症状ごとではなく、薬の種類ごとに21章に分かれています。
酔い止めは、この本にだけ載っていました(児島先生の『ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます』には載っていません)。
児島先生は、薬剤師さん向けの『薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100』も書かれていて、2026年7月に改訂版が出たばかりです。
題名が似ているので、間違えないようにしてくださいね。
私が読んでいるのは、市販薬を扱う『OTC医薬品の比較と使い分け』のほうです。
こちらもXで、OTCに関わる薬剤師さんが絶賛されているのを見かけました。
開いて「なるほど!」と思ったところが、3つあります。
1つ目は、「現場で役立つQ&A」の最初の質問です。
「抗コリン薬」と「抗ヒスタミン薬」は、使い方は大して違わないのか。
答えは、「効果も副作用も大きく異なる」でした。
効果はほかの本にも書いてありますが、こうして並べて比べてもらえると、とても分かりやすかったです。
2つ目は、成分表です。
商品ごとに、液・錠・カプセルといった形や、何歳から使えるか、成分の違いが一目で分かります。
3歳のお子さんの接客で迷った「何歳から?」が、ここですぐ見られます。
3つ目は、使い分けフローチャートの下にある「こういう場合は?」です。
よくあるケースが載っていて、「トイレが近くなるのは嫌」という声への答えまであるのには驚きました。
お客様が実際に言いそうなことが、ちゃんと載っているんです。
持病のある70代の方の酔い止めと、「飲んでいる薬」の確認
後日、バス旅行に行くという70代のお客様が、酔い止めを探しに来られました。
ご希望は、乗り物酔いによる吐き気とめまいに使えて、1日1回、水で飲めるタイプ。
希望を順に聞いていくと、商品はスムーズに選べました。
お話の中で持病があることも教えていただいて、普段は飲んでいない薬があることも確認。
併用は避けるよう、お伝えしました。
ただ、飲み合わせは薬によって違うので、持病の薬は自己判断で休まず、医師や薬剤師さんに相談してくださいね。
でも振り返ってみると、反省点があります。
選ぶ「前」に、他の持病と飲んでいる薬を一言聞いておくべきだったということ。
あとで店長に相談すると、「現在飲んでいる薬の確認はしたほうがいい」とのことでした。
児島先生の本にも、高齢の方は薬によって注意が必要な持病がある、と整理されています。
私の振り返りと同じことが本にも書いてあって、少し安心しました。
岸田先生の本は「少し前に出た本」で、買うのを迷いました
もう1冊は、岸田直樹先生の『よくある気になるその症状 レッドフラッグサインを見逃すな!』。
発売は少し前の本で、買うかどうか迷いました。
登録販売者の私に、受診をすすめる目安まで分かるかな、と思っていたんです。
背中を押してくれたのは、Xで登録販売者の方が紹介していたこと。
本の中にも「薬剤師」「登録販売者」という言葉が出てくるので、受診をすすめる目安を知っておきたいと思って買いました。
読んでみると、症状を見極める基本は変わらないため、とても参考になっています。
正直なところ、まだかぜの章の途中。
それでもいちばん読みやすいと感じたのは、接客のような事例に沿って解説してくれるところです。
本は、4つのステップに分かれています。
①かぜ ②痛み ③消化器症状 ④めまい・倦怠感
この先の章で、どんな接客の事例が出てくるのか、読み進めるのが楽しみです。
かぜの章では、本ではこう整理されています。
「咳」「鼻水」「のどの痛み」の3つが、急に、同時に、同じくらい出ていれば、典型的なかぜの可能性が高い。
逆に、咳だけ、熱だけのように1つの症状だけなら、かぜとは言い切れず、ほかの病気の可能性もある。
これを読んで、ある接客を思い出しました。
「寒気だけ」と言われた接客を、本のあとで思い出しました
年配の女性のお客様が、かぜ薬を買いに来られました。
濫用確認のために症状を聞くと、「ゾクゾクするから」とのこと。
咳、鼻、のどの症状はありません。
「家にないと不安で」とおっしゃっていて、以前にも寒気が続いたことがあるそうです。
お客様のご希望どおりに販売しました。
ただ、症状があいまいなことが気になっていました。
接客の振り返りでは、「次は寒気が主なら、発熱の有無を確認しよう」と決めました。
その後、岸田先生の本で「1つの症状だけのときは、かぜ以外の可能性もある」と知りました。
私が接客で感じたモヤモヤと、同じところを指していたんです。
もうひとつ印象に残ったのは、熱があるときの「寒気の程度」。
本では、熱が出るときの寒さを、3段階に分けて確認するのが大事とされています。
セーターをはおりたくなる「寒気」、毛布を何枚もかぶりたくなる「悪寒」、体が震えて止まらない「悪寒戦慄(おかんせんりつ)」。
悪寒戦慄とは、体がガタガタ震えて、自分では止められないほどの激しい寒気のことです。
3つの中でも大事なのが、この悪寒戦慄があるかどうか。
あればレッドフラッグサインなので、遠慮せずに受診をすすめるように、と書かれています。
見極めるコツは、歯がガチガチ鳴るかどうかと、「止めようと思っても止まらなかったですか?」と聞くこと。
熱のある方には、寒気の程度を確認するのをクセにしましょう、とも書かれていました。
(出典:岸田直樹『よくある気になるその症状 レッドフラッグサインを見逃すな!』)
あのお客様の熱の有無や、寒気の程度まで、しっかり確認はできていませんでした。
次に同じことがあれば、発熱の有無に加えて、どのくらいの寒気なのかも、もう一歩聞いてみたいと思っています。
濫用確認のことは、こちらの記事にも書いています↓
👉登録販売者の濫用確認、5月から仕事はこう変わりました
児島先生の2冊は、どちらを買う?買う前に知りたいこと
児島先生の本は、私は2冊読んでいます。 どちらも羊土社の本ですが、作りが違います。
比べるポイント | 『ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます』 | 『OTC医薬品の比較と使い分け』 |
|---|---|---|
| 値段 | 1,760円 | 4,180円 |
| 大きさ | 四六判 | B5判 |
| 分け方 | 症状ごと(12章) | 薬の種類ごと(21章) |
| 向き | 一般の方も読めるやさしさ | 専門書寄り(でも難しくはない) |
| 酔い止め | 載っていない | 載っている |
どちらも机に置いて読む本で、通読もできるし、辞書のように引くこともできます。
『OTC医薬品の比較と使い分け』は、1つの項目の中に、薬を使う目的、受診するかどうかの目安、使い分けのフローチャート、成分ごとの特徴、Q&Aが入っています。
ページの下にある「こぼれ話」も、読んでためになりました。
私は先に『OTC医薬品の比較と使い分け』を買い、あとで『ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます』を買いました。
でも、これから買う方には、順番は逆をおすすめしたいです。
いきなり専門書はハードルが高いな、という方には、『ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます』のほうが読みやすいからです。
こちらも、登録販売者として買う価値のある本だと思っています。
一般向けの本については、ラボでも紹介しています。
👉かおまえラボ「健康本3冊」の記事
【まとめ】今のあなたに合う1冊は?
| 今の自分 | おすすめの本 |
|---|---|
| 接客の前にも後にも、手元でサッと確認したい | 鈴木先生『OTC薬ポケットマニュアル』 |
| まず、読みやすい1冊から | 『ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます』 |
| 慣れてきて、接客のあとに使い分けを確かめたい | 『OTC医薬品の比較と使い分け』 |
| 受診をすすめる目安を知っておきたい | 『よくある気になるその症状』 |
新人の頃の私は、本を接客の前に開いていました。
6年目の今は、接客のあとに開いて、ほかの選択肢を確かめています。
登録販売者の本は、一度読んで終わりではなく、何度も読み返すものばかりだと思います。
今の自分に合う1冊を、そばに置いて、何度でも開いていけたらいいですね。

