「辞めたいけど、辞められない」
友人からそんな相談を受けることが、ときどきあります。
理由は、人によって全然違います。
それでも、突き詰めていくと、大きく3つに分けられる気がします。
仕事そのものが合わないのか。環境がつらいのか。それとも、体の事情なのか。
好きな仕事なのに、体が拒否反応を起こしてしまった人。
周りから「また辞めるの?」と言われてしまう人。
長く勤めた職場で、いつのまにか居場所がなくなっていた人。
今日は、そんな「辞めたい」にまつわる、いくつかの話をお伝えします。
※この記事は、身近な人から聞いた複数の体験をもとに、個人が特定されないよう一部の内容を変えて書いています。
好きな仕事なのに、体が拒否反応を起こした話
以前、別の仕事をしていた知人が、調理の仕事に転職しました。
彼女は、この仕事が好きだったそうです。
でも、しばらくして、手に洗剤のアレルギーが出てしまいました。
洗い物の作業を避けるようにしていたものの、流れ作業の現場では、誰かがその分をカバーしなければなりません。
「自分だけできないことがある」という申し訳なさに、ずっと悩んでいたそうです。
結局、彼女は別の職場でも調理の仕事を続けることにしました。
今度は、調理と洗い物の担当が最初から分かれている職場だったそうです。
今は、その仕事にやりがいを感じているといいます。
体の事情は、本人にはどうしようもないこと。
それでも「辞める」という選択にたどり着くまでには、時間と葛藤があったんだろうなと思います。
「また辞めるの?」と言われた話
別の知人は、短い期間に転職が続いたことがあります。
1回目は福祉の仕事。資格は持っていたものの、実務は未経験で、戸惑うことが多かったそうです。
2回目も福祉の仕事でしたが、今度は職場そのものが厳しい状況で、人が続かず、負担がどんどん増えていったといいます。
身近な人には、「辞めぐせがついてるんじゃない?」と言われたそうです。
でも、理由はそのつど違います。
1回目は自分に合わなかった。2回目は職場の事情。
外から見れば「また辞めた」。でも、本人にとっては、そのたびにちゃんとした理由があるんですよね。
長く勤めた職場で、居場所がなくなった話
もう一人、長年同じ職場で働いてきた知人がいます。
ある時期に部署が変わり、それから少しずつ、居心地が悪くなっていったそうです。
仕事のことを聞ける人もいない。挨拶をしても、返ってこないこともある。
それでも、以前いた部署の人たちとはまだ関わりがあって、その仕事は今も好きだと話していました。
しばらく経ったころ、彼女は「もう限界かもしれない」と、私に相談してくれました。
「成長できるか」で判断する
私は、こう伝えました。
「自分が成長できると思ったら、残ってもいいんじゃないかな」
そして、こうも伝えました。
「求人を見るだけでも、転職活動になると思うよ。気になる仕事が見つかったら、そのとき初めて応募を考えればいい」
今の職場を辞めると決めなくても、ほかにどんな仕事があるのかを知るだけで、気持ちが少し整うことがあります。
やってみたいと思える仕事がある時は応募すればいい。
そういう意味で、私は「転職活動って、転職と違ってノーリスクだから」と伝えました。
「成長」というと、ちょっと大げさに聞こえるかもしれません。
たとえば、「この仕事をもっと覚えたい」「ここで、まだやってみたいことがある」と思えるかどうか。それとも、「この人たちと、もう少し働きたい」と思えるかどうか。
そう思えるなら、残る意味はきっとあります。
どうしてもそう思えないなら、外に目を向けてみるサインなのかもしれません。
私自身にも、覚えがあります。
今の職場(クリニック)に入ったころは、「レセプトをやってみたい」「加算の算定を覚えたい」と、新しい仕事を任されることが成長だと思っていました。
でも今は、日々の仕事の中で「この病気には、この薬が使われるんだ」と知ることが、登録販売者としてのもうひとつの仕事にもつながっていると感じます。
在宅医療の知識も、いつか家族や友人がお世話になるかもしれないときの備えになる。
成長の形は、途中で変わってもいいのだと思います。
しばらくして、彼女は少し上の上司に「辞めたい」と相談したそうです。
そこから、別の仕事の話が出てきたり、条件がころころ変わったりして、信用しきれないけれど、やってみたい気持ちもある。
その後も、気持ちは揺れているようです。
辞めたい理由を仕分けてみる
もうひとつ、判断のヒントになる視点があります。
「辞めたい理由は、仕事そのものなのか。環境なのか。それとも、体の事情なのか」という切り分けです。
洗剤アレルギーの知人は、体の事情でした。
短い期間に転職が続いた知人は、最初は仕事そのもの、2回目は環境でした。
そして彼女の場合は…仕事は好きだけど、環境がつらい、というパターンでした。
仕事そのものが好きで、環境だけがつらいなら、辞めるという選択は「逃げ」じゃなくて、「環境を変えるだけ」なのかもしれません。
掛け持ちという、いきなり辞めない選択肢
彼女には、もうひとつ提案してみました。
「いきなり辞めるんじゃなくて、まずは仕事量を減らして、掛け持ちを試してみたら?」
私自身も、掛け持ちという働き方を選んできました。その理由は、こちらの記事に書いています。
👉 50代主婦が掛け持ちパートを選んだ理由|実際のメリット・デメリットと無理なく働くコツ
実は、掛け持ちで働いている知人にも、先日たまたま会いました。
以前はフルタイムの事務職でしたが、今は扶養内で2つの仕事を掛け持ちしています。
収入の調整はなかなか大変だと話していました。
扶養内で収入を抑えるための工夫は、こちらにまとめています。
👉 50代主婦、掛け持ちパートで年収130万円以内に収めています
知人は、両方の職場から「辞めないで」と言われているということでした。
本当は片方の仕事の方が好きだけど、もう片方からも週1でいいから来てほしいと頼まれている。
掛け持ちは大変。でも、必要とされているという実感も、そこにはあるようでした。
いきなり全部を変えるんじゃなくて、少しずつ試してみる。
それも、ひとつの選択肢だと思います。
実は、私自身も、辞める決断をしたことがあります。
そのときのことは、こちらの記事に書きました。
👉 パートを辞めていいか迷う50代主婦へ。罪悪感なく退職できた3つの理由
まとめ:50代の「辞める」には、勇気が何倍もいる
50代の「辞める」には、勇気が何倍も必要です。
でも、最初の一歩は、今すぐ退職を決めることではありません。
辞めたい理由が、仕事そのものなのか、環境なのか、それとも体の事情なのか。
まずはそこを整理する。
求人を見る、誰かに相談する、働く時間を減らしてみる。
そんな小さな行動も、立派な一歩です。
理由は人それぞれ。でも、迷っているのは、あなただけではありません。
「辞めるか、我慢するか」の二択にせず、自分を守れる道を少しずつ探してもいいと、私は思います。

