この春、私の周りでは5人が職場を退職しました。
うち2人は切れ目なく転職して新しい会社で就職し、3人は失業保険を申請して失業手当をもらっています。
1.会社都合 :会社が閉鎖
2.自己都合1:仕事内容が合わず退職
3.自己都合2:人間関係で退職
失業保険を申請しても、状況によって内容は全く違ってきます。
それぞれのケースについて順番に解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
失業保険を申請した3つのパターン
①会社都合:40代Aさんのケース
- 被保険者期間: 5年3ヶ月
- 待機期間 : 7日間
- 基本手当 : 240日
※出典:厚生労働省
Aさんは、私の前職の介護事務で週5日フルタイム勤務していた40代主婦です。
今年の3月に会社が閉鎖し、失業保険を申請しました。
会社都合の退職では待機期間は7日間で、基本手当は240日です。
3月に会社が閉鎖したものの、介護事務請求業務が5月初旬までありました。
全ての業務が終了してから失業保険の申請をしたようです。
会社が閉鎖してしまうので、給料は事前に見込み給でもらっていたのだとか。
会社自体は閉鎖しても法人は閉鎖していないので事業所もそのまま利用できたのです。
Aさんはフルタイム勤務だったので、社会保険に加入していました。
失業給付を受給中、Aさんは夫の扶養に入れません。
基本手当がそれだけ多くもらえるからです。
そのため、健康保険や年金の支払いは自分でしなければなりません。
健康保険は国民健康保険か、もしくは任意継続で前職の会社に2年間加入するかのどちらかを選べます。
会社が閉鎖したとはいえ、法人は閉鎖していないのでAさんは任意継続保険にも加入できます。
しかし、会社都合のため国民健康保険の減免があり、任意継続より低額な国民健康保険に加入しました。
会社都合の場合の失業保険は、非常に優遇された制度だと感じます。
②自己都合:50代Bさんのケース
- 被保険者期間: 16年
- 待機期間: 2ヶ月
- 基本手当: 120日
※出典:厚生労働省
BさんはAさんと同じ法人の他事業所で勤務していました。
Bさんの事業所は昨年3月に閉鎖しX事業所に転職しましたが、仕事内容が合わず退職しました。
Bさんの失業給付の待機期間は2ヶ月間で、基本手当は120日です。
転職先のX事業所は閉鎖した事業所と同じような業種だったにも関わらず、仕事内容が微妙に違ったのだそうです。
事務職からの社会福祉士では実務経験が乏しく、次第に負担が重くなり辞める決意をしました。
離職票には離職理由のコードが記載されます。
Bさんは自己都合で退職となり、その理由に不服はないという同意書を書かされたそうです。
基本手当の支給額は月に14万円ほどで、そのうちの社会保険料に4万円もかかるそうです。
国民健康保険の支払い金額について、市役所まで事前に聞きにいきました。
Bさんは、国民健康保険の減免はありません。
任意継続保険に加入してもそれほど差はないなら、辞めた会社に手続きに行くのも嫌でしょう。
失業保険の待機期間は夫の扶養に入れますが、基本手当を受給中は抜けなければなりません。
また、Bさんは退職直前に労災で肩を骨折したので、失業保険の申請もしばらくできませんでした。
失業保険を申請できるのは、仕事につく意思と能力がある方と決まっているからです。
自己都合での退職については、失業保険は厳しい制度だと感じます。
タイミングも悪く怪我をしてしまって、すぐに仕事もできなければ失業手当ももらえないなんて…。
労災も半ば強引に打ち切られて理不尽だったと思いますが、特に不満をいうことはしなかったようです。
③自己都合:60代Cさんのケース
- 被保険者期間: 6年
- 待機期間: 7日間
- 基本手当: 180日
※出典:厚生労働省
Cさんは、50代から働いていた会社で派遣から正社員になりました。
60歳からは再雇用となり正社員ではなくなりましたが、給料は変わらず契約は1年ごとの更新です。
後から入ってきた30代の正社員とCさんと考え方が合わず、真面目で仕事をきっちりしたいCさんはストレスが重なり帯状疱疹になってしまいます。
1年以上痛みで苦しんで、入院治療も2回したけれど完治はしませんでした。
特別支給の老齢年金をもらえるまであと数年なので我慢しようとしたものの、体が悲鳴をあげたのです。
1年ごとの契約更新のタイミングで自己都合退職をしました。
労務と経理を担当していたCさんは、もう1人仲の良かった30代の正社員の人に離職票の作成をお願いしたそうです。
離職理由は23番の「期間満了による退職(労働者の希望による)」となったため、同じ自己都合退職でも、この理由によって待機期間が短縮されたのです。
待機期間は7日間で、会社都合と同じです。
基本手当は180日間、国民健康保険の減免もあり、任意継続の健康保険よりも低額なので国民健康保険に加入しました。
Bさんと同じ自己都合でも、待機期間や基本手当日数に大きな差があります。
自己都合の離職理由でも、この他に32番の「家族の介護、結婚などの家庭の事情」や、33番の「通勤困難」など、場合によっては待機期間が短縮されたり、基本手当日数が増えるケースがあります。
さらにCさんの場合は60代なので、高齢者継続給付という制度が適用されるのです。
高齢者雇用継続給付とは、60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者が、原則として60歳時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働いている場合に、各月に支払われた賃金の最大15%の給付金が支給されるものです。
高齢者雇用継続給付にはざっくりとした説明になりますが、以下の2種類があります。
1.高年齢雇用継続基本給付金…60歳以降も同じ会社で働く際に賃金が60歳までと比べて75%以下に下がった場合、失業保険をもらっていないなどの条件でもらえる給付金
2.高年齢再就職給付金…60歳以降一旦はそれまでの会社をやめて失業保険をもらっており、新たに再就職し60歳までの賃金と比べて75%以下に下がった場合にもらえる給付金
Cさんは2. の高年齢再就職給付金がもらえる可能性があります。
労務も担当していたCさんは、私にこう言いました。
8月中に条件に合った再就職をすれば高年齢再就職給付金がもらえるの。
失業保険の再就職手当よりも多くもらえるからそれを目指している。
簿記2級を所持しているCさんはライフプランや家計管理も完璧です。
50代で離婚を経験しても、しっかりと自分の力で生活をしています。
私自身の経験談と今後の雇用保険の行方
私自身は失業保険を2回受けています。
1回目は40代で理不尽な解雇に合ったため、2回目は50代で最低賃金の上昇により週20時間勤務ではなくなったためです。
さらに教育訓練給付も2回受けました。
介護職員初任者研修の通学費と登録販売者の通信教育費です。
雇用保険は何かの時にとても心強いので、本当は雇用保険対象の働き方をしたいのです。
しかし、扶養内にこだわっているためにそれが叶わずにいます。
この記事を書くタイミングで、ちょうど山田先生の動画がUPされていました。
週10時間以上勤務が対象になるのはとてもありがたい改正だと期待しています。
教育訓練給付が受けられるようになったら、また勉強もしたいです。
まとめ
以上が私が友人から聞いた失業保険の3つのケースです。
各ケースの詳細や個々の体験談を通じて、失業保険の重要性や制度の違いを理解していただけたかと思います。
失業保険は、いざという時のために非常に心強い制度ですが、その適用範囲や給付内容については常に最新の情報を把握しておくことが重要です。
将来の不測の事態に備えてしっかりと準備をしていきましょう。
私自身も法改正の情報に目を向けながら、しっかりと準備していきたいと思います。