マニュアルを見ても、「なにこれ?どういう意味?」。
医療事務が覚えられない…50代未経験で働き始めた私は、毎日そう感じていました。
最初に仕事の説明を受けたときは、頭の中で組み立てるのに必死。
教えてもらったことを順序立てて組み立てられるようになって、はじめて「わかってきた」と感じられる。
そこまでが、とにかく長いんです。
覚えたはずのことも、なぜか途中で抜けてしまう。
忘れたというより、「どうして抜けるんだろう?」と自分でも不思議でした。
40代までは、こんなことなかったのに。
悔しいけれど、覚えるスピードが落ちたことは認めるしかない。
年齢には勝てないな、と思いました。
この記事は、そんな私が「少し楽になった方法」の話です。
特別なコツではありません。
でも、半年働いてわかったのは──全部覚えなくても、仕事はできるということでした。
同じように悩んでいる方に、「私だけじゃないんだ」と思ってもらえたらうれしいです。
医療事務が覚えられない…50代未経験の私だけ?
私が医療事務を始めたのは、53歳のときでした。
実は40代の頃に2度、医療事務の仕事に就いたことがあります。
でも、どちらも2週間で辞めてしまいました。
経験と呼べるほどの経験にはならないまま、「私には向いていないのかも」という気持ちだけが残りました。
それでも53歳で3度目の挑戦に踏み切れたのは、「オープニングスタッフ募集」だったから。
みんなが同じスタートラインから始められるなら、「今度こそ続けられるかもしれない」と思ったんです。
ただ、フタを開けてみると、未経験の50代は私だけ。
まわりは30代や40代で、やっぱり覚えるのが早い。
私が何度教わっても抜けてしまうところを、若いスタッフはスムーズにこなしていました。
たとえば、診察券を作るのを忘れる。
お返しするのを忘れる。
窓口が慌ただしくなると、とたんに抜けが出るんです。
「やっぱり年齢かな」と、何度も思いました。
でも、全部がダメだったわけではありません。
以前に介護事務で経験していたおかげで、パソコン操作はまったく苦にならなかったんです。
50代だから何もかも遅いわけではありません。
できることは、ちゃんとできる。
抜けるところだけが、抜けるんです。
そして半年働いてわかったのですが、この「抜け」の正体は、実は年齢だけでは片付けられないものでした。
慌ただしさ、慣れない流れ、一度に入ってくる情報の多さ──。
実際、医療事務は覚えることが多く、年齢に関係なく戸惑う人の多い仕事です。
もしあなたが今「覚えられないのは私だけ?」と思っているなら、まずこれだけお伝えしたいです。
私だけでも、あなただけでも、ありません。
実際に私がなかなか覚えられなかった3つの仕事
ここからは、私が実際に「覚えられなかった」仕事の話です。
「あるある」と思ってもらえたら、それだけで嬉しいです。
紹介状の手続き──病院ごとにやり方がバラバラ
紹介状の手続きは、最後まで私を悩ませました。
何が大変って、紹介先の病院ごとに手順がまったく違うんです。
- A病院は、FAXを送って返信を待つ
- B病院は、ホームページから申し込み。しかも患者さん自身にも申し込みをしてもらう必要がある
- C病院は、電話で申し込んで、返事はFAXで届く
様式も、先生に書いてもらう箇所も、返事を待つ時間も違う。
患者さんが紹介状を持参するのか、直接来院でいいのか…それも病院しだいでした。
ここまで条件が違うと、「覚えられない」というより、頭の中で混ざるんです。
A病院とB病院の手順が混ざって、「あれ、ここはFAXだっけ?電話だっけ?」と。
しかも窓口はスピードを求められるので、マニュアルをじっくり見る暇もありません。
だから、なかなか慣れることができませんでした。
電話対応──「年齢を聞かないなんて」と注意されて気づいたこと
「呼吸が苦しい感じがするんですが、診てもらえますか?」
こういう問い合わせの電話、医療事務をしているとよくあります。
私の頭の中では、こういう流れでした。
まず症状を聞く。
先生に伝えて、診てもらえるとなったら予約を取る。
お名前や生年月日は、そのときに聞けばいい。
問い合わせだけで終わる電話も多いですから。
でも、症状を先生に伝えた段階で「年齢は?」と聞かれたんです。
考えてみれば当然で、同じ症状でも、年齢によって考えられる病気は変わります。
先生にとって、年齢は症状とセットの情報だったんですね。
「年齢を聞かないなんてありえない」と、数回注意されました。
でも、そもそもルールがなかったんです。
年齢を聞かないスタッフもいれば、しっかり聞くスタッフもいる。
私は聞くのを忘れる…スタッフによって、やり方がバラバラでした。
こういう細かいことも、ルールとして共有していたら良かったのかもしれません。
オープニングのクリニックあるある、なのだと思います。
半年で1回の仕事は、覚えようがなかった──主治医意見書の手続き
介護保険の認定に必要な「主治医の意見書」。
この提出の仕事は、私が働いた半年間で、たった1回しかありませんでした。
しかも提出先が市によって違うんです。
医師会の事務だったり、国保連に直接だったり。
調べても、なかなか正解にたどり着けませんでした。
実は私、以前に介護事務をしていて、意見書を「お願いする側」だったことはあるんです。
それでも、「お願いされる側」の手続きはまったくの初めて。
経験があっても、立場が変われば初めての仕事になるんだと知りました。
たまにしかない仕事は、覚える機会そのものがありません。
今なら言えます。
覚えられないのは、当たり前でした。
医療事務が覚えられない私が、少し楽になった4つの工夫
ここからは、覚えられない私がやってきた工夫です。
どれも特別なことではありません。
でも、この4つで確実に楽になりました。
①手作りマニュアルを「育てる」
私のマニュアルは、A4の紙を100円ショップで買ったファイルに挟んだだけの、手作りのものでした。
置き場所は受付の後ろの棚。
患者さんが少ない時間に、そのファイルを開いて復習のように眺めていました。
ポイントは、マニュアルを「育てる」ことです。
- やっていて手順が抜けていたら、追加で書き込む
- よく忘れること、ミスしたことは赤ペンで書く
一度作って終わりではなく、ミスするたびに書き足していく。
すると、世界にひとつの「私が間違えるところだけが載っているマニュアル」ができあがります。
実はこのやり方、職場が変わった今でも続けています。
50代の私が、現役で使っている方法です。
②付箋は「使う場所の近く」に貼る
付箋で意識していたのは、書く内容より「貼る場所」です。
電話対応で共有したいことは、電話のそばに。
マニュアルに関するメモは、マニュアルのその箇所に。
頭で覚えておくのではなく、必要なときに目に入る場所に置いておく。
私はこれを「覚えなくてすむ工夫」と呼んでいます。
そうやって繰り返しているうちに、不思議と自然に覚えていくんです。
③同じことでも、何度でも聞くと決めた
同じことを2回聞くのは、勇気がいりますよね。
私は2回目に聞くとき、一言添えるようにしていました。
「申し訳ありません、念のためにもう一度教えてください」
「確認ですが──」
ときには「覚えが悪くて申し訳ありません」と言いながら聞くこともあります。
もちろん、相手が忙しそうなときは避けて、タイミングを見計らって。
それでも聞くと決めていたのは、聞かないでミスするより、聞く恥のほうがずっといいと思っていたからです。
④よくやる仕事から、自然と覚えていった
そして、これが一番お伝えしたいことかもしれません。
繰り返し同じ作業をしているうちに、マニュアルを見なくてもできるようになっていくんです。
最初は1から順番にマニュアルを見ていたのが、そのうち、わからない箇所だけ見るようになる。
最終的には、よほど確認したいときだけ開くようになる。
「覚えよう」と頑張ったわけではありません。
よくやる仕事から、少しずつ体が覚えていったんです。
覚えるって、そういうことだったのかもしれません。
半年働いてわかったこと。全部覚えなくても仕事はできた
半年働いて、わかったことがあります。
3ヶ月もすれば、一連の流れはわかるようになります。
問題はイレギュラーな仕事ですが、これは少しずつ経験していくしかありません。
そして、わからないことは、一緒に働く仲間に教えてもらえます。
だから、これは断言できます。
全部覚えなくても、仕事はできます。
それに、働いてみて気づいたことがあります。
そもそも、「全部覚えている人」はいませんでした。
ベテランのスタッフも、マニュアルを見たり、調べたりしていました。
医療事務はクリニックごとにルールが違いますし、診療科が違えばやり方も違います。
何年やっていても、確認しながら仕事をする。
それが医療事務の当たり前だったんです。
若いスタッフにも、覚えられないことはありました。
明るく「もう一度教えてください!」と笑顔で、にこっと乗り切っていました(笑)。
覚えられないこと自体は、年齢に関係なく、誰にでもあるんです。
覚えられない自分を責めていた頃の私に、教えてあげたい。
覚えるのが遅いことと、仕事ができないことは、別の話だよ、と。
ちなみに私は、この職場を半年で離れています。
でも、覚えられなかったからではありません。
仕事を覚えられても、辞めるという選択をすることはある──そのときの話は、別の記事に書いています。
👉50代で医療事務は難しい?6ヶ月で辞めた私が感じたリアルと3つの気づき
覚えられないのは、あなただけではありません
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
振り返ってみて、一番楽になったのは、覚え方が上手になったからではありませんでした。
「全部覚えなきゃ」と思わなくなったことでした。
マニュアルを育てる。
付箋を使う場所の近くに貼る。
一言添えて、何度でも聞く。
そうやって「覚えなくてすむ工夫」に頼っているうちに、よくやる仕事から自然と体に入っていきます。
私も、今でも忘れることがあります。
でも、昨日より今日、今日より来月。
少しずつ体が覚えていくものなんだと感じています。
半年続けてみて思うのは、覚える力も大切だけれど、「続ける力」はもっと大切だということです。
だから、どうか「全部覚えなきゃ」と、自分を責めすぎないでくださいね。
「いつになったら慣れるんだろう」と感じている方は、こちらの記事もどうぞ。
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