「向いているよ」
その一言が、ずっと心に引っかかっていました。
50代でようやく採用されたオープニングスタッフの職場。
20年以上のキャリアを持つベテランスタッフさんに、そう言ってもらえたのに、私は6ヶ月で辞めてしまいました。
「向いていなかったから続かなかったんだろうな…」
退職後、しばらくそう思って自分を責め続けていました。
でも時間が経って気づいたのは、仕事への適性ではなく、環境との相性だったということ。
向いている・向いていないという言葉だけで、自分を決めつけなくてよかった。
そう思えるまでには、少し時間が必要でした。
同じように「続けられなかった自分」を責めている方に、少しでも届けばいいなと思いながら書いています。
医療事務の資格を取ったのに、なかなか働けなかった理由
40代前半に、「この先も続けられる仕事に活かせる資格を取りたい」と思い、
医療事務の資格を取得しました。
当時の私が思い描いていた医療事務のイメージは、とてもシンプルなものでした。
- 求人が多い
- 資格も比較的取りやすい
そんな、少しふわっとした印象です。
ところが、実際に資格を取って求人を探してみると、思っていた以上に働く時間帯の壁があることに気づきました。
※実際に求人を探して、イメージとのギャップを感じた点です。
- 総合病院は、朝早い時間(7時前後)から勤務できる人が優遇されやすい
- 個人クリニックは、午後の時間帯に入れる人を希望することが多い
実家が遠く、夫の帰宅も遅い。
子育て中だった私には、なかなか一歩を踏み出せない時期が続きました。

資格は取ったけれど、今の生活に本当に合う働き方なのかな
そんな迷いを抱えたまま、時間だけが過ぎていった時期だったと思います。
50代で採用の知らせを受けたとき「受かってしまった、どうしよう」と思った
40代は、調剤事務や介護事務のパートとして働いてきました。
子どもたちの手が少しずつ離れ、シフトにも柔軟に入れそうだと感じるようになった頃、
「そろそろ次の働き方を考えてもいいのかもしれない」と思い始めました。
それなら、15年前に取得した医療事務の資格を、今度こそ活かしてみたい。
ずっと心のどこかに残っていた気持ちでした。
そんなタイミングで出会ったのが、オープニングスタッフの求人。
採用の電話を切ったあと、「受かってしまった、どうしよう」という気持ちが正直なところでした。
嬉しさが8割、でも残りの2割はちゃんとやっていけるのかの不安。
それでも、やっとスタートラインに立てたような感覚がありました。
不安よりも、期待のほうが少し大きかった。そんな時期でした。
「医療事務、向いてるよ」に、肩の力が抜けた
オープニング前、院長先生からメールが届きました。
今後の予定と簡単なアンケートで、回答に対して丁寧な返信もいただき、「ここでなら、ちゃんと仕事に向き合えそうだな」と感じたのを覚えています。
初顔合わせの日から研修が始まり、慣れないことばかりの毎日。
医療事務の経験者が3名いて、中でも20年以上のベテランの方と一緒にシフトに入ることが多かった私は、心強く感じていました。
「これで合っているのかな」
「迷惑をかけていないかな」
そんな不安を抱えていたある日、その方がふとこういってくれました。
「かおまえさん、医療事務の仕事に向いているよ」
その言葉は、「うまくやれているよ」という評価というより、「ここにいてもいいんだ」と思わせてくれた、救いの言葉でした。
肩の力がすっと抜けたのを、今でも覚えています。
それでも、クリニック勤務で心がどんどん消耗してしまった理由
あの言葉をもらっても、クリニック勤務は続けられませんでした。
今振り返ると、理由は3つあったと思います。
仕事の仕組みが、日々変わり続けた
オープニングの職場では、何もかも手探りの状態です。
それ自体は仕方ないと思っていました。
ただ私が感じたのは、仕組みが日ごと、時には時間単位で変わっていくことへの疲労感でした。
「これで本当に大丈夫か」と不安になる場面が続き、対応を間違えたらクレームにつながるかもしれないというヒヤリとする瞬間も何度もありました。
臨機応変に動くことは大切です。
でも、変化があまりにも続くと、心がついていかなくなる。そんな感覚でした。
人間関係の距離は近いのに、気持ちを話せる相手がほとんどいなかった
仕事上の話はできても、気持ちの話ができる相手がいるかどうかは、続けられるかどうかに大きく関わると思っています。
ミスをしたとき、そっと共感してもらえるだけで、気持ちが落ち着くことってありますよね。
あの職場で、私が心を預けられた相手は、「向いているよ」と言ってくれたベテランスタッフさんだけでした。
それだけに、先にその方が退職を決めたことは余計につらくもありました。
「向き・不向き」以前に、環境のミスマッチを感じた
仕事の向き・不向きは、もちろん大切なことだと思います。
細かい作業が苦手なのに、細かい作業が多い仕事を続けるのは、やはり苦痛になってきますよね。
ただ、それ以前に環境とのミスマッチがあると、どんなに好きな仕事でも続けるのは難しいと感じました。
私が比較的落ち着いて働けると感じる環境は、こういうものです。
- 仕事のマニュアルがある程度整っている
- お互いに共感し合いながら成長していける雰囲気がある
- 報連相の流れが整っている
これらが大きく崩れてしまうと、無理をしているつもりはなくても、心が少しずつ疲れていく。
そんな自分の傾向に、辞めてから気づきました。
辞めてから、そんな自分の傾向に気づきました。
そのときの詳しい経緯や、退職後に気づいたことについては、別の記事でまとめています。
👉 医療事務を6ヶ月で辞めた50代主婦が語る|後悔よりも得た3つの気づき
辞めてから気づいた「向いていない」ではなかったこと
退職後しばらく、「私は医療事務の仕事には向いていなかったんだ」と、自分を責め続けていました。
そんなある日、前職の同僚に話を聞いてもらっていたとき、ふとこんな言葉をかけられたんです。
「かおまえさんは、マニュアルの整った組織のほうが向いているんじゃない?」
その一言で、何かがほぐれた気がしました。
「自分が悪かったんだ」という思考から、少し解き放たれたんです。
向いている・向いていないだけで、自分を決めつけなくてもよかったんだ。
そう思えたとき、ようやく視野が広がったように感じました。
考えてみれば、私は医療事務の仕事そのものが嫌いになったわけではありません。
むしろ、今でも「好きだった」と言える仕事です。
そう考えられるようになったことで、自分自身の思い込みから、一歩抜け出せたのだと思います。
それでも、医療事務の仕事が嫌いになれなかった理由
オープニングスタッフとして採用され、「いよいよ医療事務の仕事ができる」と思った矢先に、
私は退職することになりました。
それでも、医療事務の仕事そのものが嫌いになったわけではありません。
辛いことはたくさんありましたが、患者さんと向き合う時間や、裏方として支える役割に、やりがいを感じていたのも本音です。
病気で体調がすぐれないなかで来院される患者さんに、少しでも安心してもらえたら。
そんな思いで、マスクの下では笑顔を絶やさないよう心がけていました。
そうした姿勢をそっと見てくれていたのが、あのベテランスタッフさんだったのかもしれません。
だからこそ、環境が合わなかったことが、余計につらく感じた時間でもありました。
今、同じように悩んでいる方へ伝えたいこと
半年や1年で仕事を辞めてしまったとしても、それであなたの価値が決まるわけではありません。
ご自身に合う職場はそこだけじゃないはずです。
何度も転職してようやく落ち着ける職場に出会った人も、世の中にはたくさんいます。
環境を選ぶことは逃げることではないと思うんです。
ご自身を責める前に、「環境が合っていなかっただけかもしれない」と、一度立ち止まって考えてみてほしいと思います。
転職を繰り返しても、諦めなかった理由については、こちらで詳しく書いています。
👉【体験談】50代パート採用されない?諦めなかった私の答え
今の私の選択と、これから
現在の私は、ドラッグストアで登録販売者の仕事をしながら、新たなクリニックで医療事務の仕事も続けています。
どちらの仕事にも、それぞれメリットとデメリットがあると感じています。
迷ったときには、「この職場で長く続けられそうかどうか」を★5つで評価してみて、点数が低くなったら次を考えるタイミングの目安にするつもりです。
今は掛け持ちの仕事だけに限らず、業務委託の仕事に挑戦したり、こうしてブログを書いたりしながら、少しずつ自分の選択肢を広げています。
これからもいろいろな可能性を試しながら、無理のない働き方を探していきたい。
自分を責める前に、環境を見直すという選択もある。
そのことを、今の私は大切にしています。


